お知らせ
医療人としての倫理観 (理事長 亀田隆明) 2022/11/01
理事長
亀田 隆明
現代の医療は、赤ひげ時代の医療とは異なり、患者さまごとに適切なチームを組成し、高度な情報連携のもとに効率が良く質の高い診断・治療を行う「チーム医療」として発展してきました。特に、亀田メディカルセンターでは、1995年4月に世界初となる統合型医療情報システム(電子カルテ)を開発・導入して以来、ICT化を積極的に進めながら、医療の質の向上に取り組んでまいりました。
この20~30年間でインターネットを中心としたデジタル化により、生活や産業の景色が大きく変化し、進化を遂げました。医療の世界は、他の産業に比べこの進化を十分に取り入れているとは言い難い状況ではありますが、今後もIT化を避けて医療の発展はないと考えます。
ここで問題となるのは、以前から議論されてきていることではありますが、情報のデジタル化によってもたらされる利便性が高まる一方で、つねに情報の漏洩という大きな危険性をはらんできたことです。取り扱う情報を保護することは、企業や組織にとっての社会的責務でもありますが、利便性と情報保護の両面を追求することは技術面だけでは困難なこともあります。情報セキュリティ対策を講じるのは当然のこととして、情報を取り扱う者には当然高い倫理観が求められます。
特にセンシティブに扱われるべきである医療情報を扱うには、より高い倫理観のもと守秘義務を徹底しなければなりません。これが遵守されることを前提として現代医療は成り立ち、発展してきたのです。患者さまが信頼できるパートナーとして私たちに情報を共有してくださるところから医療は始まるのですから。
最近、当院に関わる事実と異なる情報とともに患者さまの医療情報がメディアに掲載される事態が起こりました。患者さまやそのご家族に心からお詫び申し上げますとともに、今後このようなことが二度と繰り返されないよう組織のさらなる機能強化、そして何より医療人としての教育を徹底してまいる所存です。
医療従事者の守秘義務については、患者さまが安心して受診していただけるよう法律で厳しく規定されており、私たちは医療人として、医療情報の保護についての自覚を再認識し、患者さまと医療従事者がお互いの信頼のもと、すべての良心、高い倫理観をもって、更なる医療の質向上を目指してまいります。